2006年09月06日

バタフライ忍者と絆の証

けだるい夏も
終わりを告げそうな
涼しい日曜日、

僕は
バタフライ忍者
街に出た。

こんなに、
過ごしやすい
日曜日だから
もちろんのことだけど、

いつもより多くにぎわう
人々の群れは
新鮮な笑顔に溢れている。

そんな街の風景に
バタフライ忍者
とてもとても
落ち着かない様子だった。

「こ、こんなに人が、
ひとところに集まったら、
も、問題が発生するよ。」


そんな彼の胸毛から、
どれほどの
汗がながれていたっけか。

そんな彼に
僕は
おどけてみせた。

「ははは、
問題が発生するって?
例えば、どんな問題だい?」


僕も街行くみんなと同じで
笑顔に溢れていた。


「君にそれを話したとしても
理解はできないよ。

それは
目に映るものじゃあ
ないからね。」


彼のまなざしは
いたって
真剣だったんだ。


「ど、どういうことだい??」

僕は不安な気持ちを飲み込んだ。
ゴクリ。。

どれほどの不安を
僕は飲み込んだっけか。


彼は
まぁ、
信じてくれなくてもいいけど、
と前置きしてから、
話した。


「この世のすべては
エネルギー
できているのさ。

細胞というね。

そして
僕ら自身も
エネルギー
一個の
集合体であるんだ。

建物もそう。
木や水や風もみんな。

細胞体が重なり合って
一つの物質を形作る。


それで
ちょっと
話がそれるけど

アリの行列を遠くからみると
ただの曲線みたいだよね。

近くにいけば
アリの行列だとわかるけどね。

じゃあ、
近くにいけない者が
いたとして
その者達は
それを
何と認識するだろう?

それは、勿論、
曲線でしかないんだ。

僕の言ってること、わかるかい?」



「まったく、
わからないね。

その話も長いのかい?」



まずい!!


そのとき、まずい!!
と思った。



僕は
危険認知度の
高い人間だ。


過去のデータベースから
すぐさま履歴を取り出した。


そして対処、実行!!



「いや、なんとなくわかるよ。
さあさ、続けて」



バタフライ忍者
そのとき
確かに
言ったんだ。


僕は
それを
聞き逃さなかった。



「チッ!!」



そして
彼は続けた。

「人の吐く息は

二酸化炭素が大半だ。

そして、
この人だかりは
遠くからみれば、
ただの二酸化炭素
集合体さ。

ということは、
健康によろしくないって
ことになるね。」



「え?
それは誰の健康にだい??」


「それはもちろん君ではなく、
その他まわりの人達のでもなく、
この僕の健康にだよ。」


「え??
なぜ、
君の健康にだけ、
よろしくないんだい?」




「何を言っているんだい。
君を含めて他の人達は
自発的にここに来てる。

しかし、僕は違う。
君に連れられて、
ここに来ているんだからね。」


僕は、
バタフライ忍者
自分勝手な言い分に
困惑したんだ。

しかも、
そんなこと言われたんじゃ
もう帰るしかない、
と思った。

そんな気持ちで
街を歩かれたって、
僕もおもしろくも
なんともない。


「わかったよ。

バタフライ忍者

すまなかったね。

無理に
こんな
二酸化炭素の固まりみたいな
場所に連れてきてしまって。

もう帰ろうね。」



僕は街を離れようと思う。

こんな腐れきった街には
別れを告げようと思う。

強欲につつまれた
この街は
きっとこんな小さな僕を
あざ笑っているだろうな。

僕は街を出てゆくんだ。



「逃げるのかい?」



「え??」


バタフライ忍者は腕を組んで
ビルの向こうを見ていた。


「君が行こうと決めたんだろう?

どんなに危険なところであろうが、

君がそこにゆくのであれば、

僕も一緒に行くに決まっている。

わかりきったことだ。

僕を誰だと思っているんだい?」




ネズミ色のビルの谷間を
風が吹き抜けた。


ビューッ!!  ビューッ!! 

ビューッ!!  ビューッ!!




「バ、バタフライ忍者
君って奴は、、、」



僕の目には
この街には似つかわしくない程の
きれいな雫があふれていた。


ああ、バタフライ忍者

僕には見えるよ。

間違いなく見えるよ。

君との、

君との、、


とてつもなく


強い絆が。




彼は、

その後、
僕をこ一時間待たせて、

タワレコ
スラッシュメタルコーナー
激しく
頭を縦に振りながら、

視聴していたんだ。


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2006年09月03日

バタフライ忍者と部屋の中

今日もバタフライ忍者と僕は、
僕の部屋で
真っ昼間から
のんびり
テレビをみている。

最近の猛暑で、
僕らは
通い慣れたタコ公園にも
顔を出さずに、

だらけた具合で
ただただ寝転んで、
テレビをみてる。

「しかし、
最近は妙な事件ばかり
起こるよね。」


何気なく
テレビに顔を向けたまんまに
僕は話す。

ズボンもはかずに、
起きぬけのシマシマのパジャマのまんまに。

彼は
僕のベッドで、
横になって、
手に頭をのせて、
テレビをみてる。

それはあたかも、
もともと
彼のベッドであったかのように
遠慮なんてものは
微塵もない。

本当は
君のベッドなのかも
知れない。
そんな気さえしてくるよ。


「妙な事件なんてものは
昔から存在していたんだ。
ただ、
それが表に出ていたか、
いなかったか、
の違いだよ。」


彼は
最近、
少し偉そうに
しゃべる。

いつからだろう。

すべてを悟っているかのように、
上からものを言うみたいに。


「そうなんだぁ、、、」


僕は同調する。
それは
降伏といった意味合いではなく、
無意味な争いを
生まないように。

世界は
無意味な争いで
覆われていると
僕は思うから。


でも、
もし君が
僕の同調を
降伏ととっているのなら、
君のその横柄な態度は、
僕がもたらしていることになる。

そうなのであれば、
僕らの仲はいつか、
いや、
それは思いのほか
近いうちに、
破綻するのかもしれないね。

僕は
すこし空虚な
気持ちに
なってみた。

また君を失う時が
来るのかな。



「こ、この子は、、
なんて言う子だい?」



バタフライ忍者
ベッドから
勢いよく
体を起こし、
テレビ画面を
指差した。

画面には、
あの
ゆうこりん
映っていた。

「これは
小倉優子』っていう
アイドルだよ。

ゆうこりん』って
みんなから呼ばれてる
天然系アイドルだよ。」


彼は
画面の中の
彼女に釘付けだ。

彼の真剣な眼差しは
いまにも
目からバタフライビーム
飛び出しそうだ。

僕は
危険を
感じた。


「いったい、
彼女がどうしたって
いうんだい?」


僕は
少し妬いていたのかも
しれない。

バラエティ番組で
笑いながら、
しゃべっている
小倉優子
みつめ、
確信したように、

彼は
言い放った。


「こ、この子、、

む、無理を

してるよね。」



僕は

彼との破綻を
想像した僕の心を、

彼の態度に
舌打ちしていた
ゲスな
僕の心を、

憎んだ!!


バタフライ忍者、

君はやっぱり

僕の知ってる

バタフライ忍者だったよ。

他の誰でもない
世界にたった一人の
バタフライ忍者だったよ。



君の優しさは
ブラウン管の向こうまで、
果てしなく続く。

君の優しさが、
いまの社会の混沌を、
少しずつだけど、
きっと
溶かしてゆくだろう。

ゆこう、

その未来へ。



「つまみがなくなったから、

買ってきてくれないかな。」



バタフライ忍者
空になったポテトチップスコンソメパンチの袋を
丸めて、
ベッドの脇のごみ箱
追いやって、
言った。

「うん、すぐに言ってくるね。」

僕は
蒸し蒸しして
湯気が出ている
アスファルトの道を、
コンビニに向かって、
走り出したんだ。

その足どりは
こんな夏の暑い日だって
関係ないように
軽いんだ。

汗は家を出てから
1分もたたずに
噴射している。

生きて

帰れるだろうか?

不安がよぎった。


でも
僕は
その不安を
空になったポテトチップスコンソメパンチの袋を
丸めて、ごみ箱に追いやるように、
一蹴したんだ。

僕は
君に
コンソメパンチ
二つ買っていこうと
思う。


君はきっと気づかないだろうけど、

それは

僕が知った、

君から教えてもらった、

優しさの分だけ

ひとつ

多いんだ。



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2006年09月02日

おでかけしよう、バタフライ忍者。

今日は日曜日、

バタフライ忍者
軽井沢へ行った。

天気は快晴で
暑い日差しは
その手にとどくものすべてを
溶かしている。

あたかも
太陽がその力を誇示するかのごとく。

そして、
軽井沢はなんと、
バタフライ忍者
生まれの地だという。

「僕は
車というものに
乗ったことがないんだ。」


ドライブの話を持ち出したとき、

彼は
少し不安そうに
その言葉を
こぼした。


「え!?まさか!?」


僕は
そのとき、
彼を少しバカにしたのかも
しれない。

彼がいつもより

小さく、遠く、みえたんだ。

「恥ずかしい話だけど、
僕は正直、
車というものが
とてつもない怪物にみえてたまらない。

僕が初めて
忍びの穴
(注:バタフライ忍者が育った場所、
中軽井沢の森の中にあると言われているが、
いまだ誰も確認した者はいない)から
一人抜け出して、
人間社会をみたときのことさ。」



「その話は
長くなるのかい?」



僕は
他の人よりも少し
生き急いでいるのかもしれない。

「君も言うようになったね。

でも、
ひとつだけ覚えておいた方がいい。

親しき仲にも
礼儀ありってやつを。」



バタフライ忍者の手は
僕の喉仏のコンマ何ミリのところで
バタフライ手裏剣を構えていた。


僕の喉仏のあたりは
少しばかりだけど
がでていたのかもしれない。


僕は
そんな彼を
こ一時間説得し、

車の助手席に乗せて、
日本の避暑地、
軽井沢へと向かった。


彼は
シートベルトを嫌った。

身動きがとれないと、
自分の命が
自分で守れないと、
言って。

そんな彼の意見は
最もだと思い、

僕らは
シートベルトを閉めずに
走ったんだ。

自由を感じた。

僕らはどこまでもゆける。



到着するまでに、

僕は2回、

白バイに捕まった。



そして
不思議だったのは
2回目に捕まったとき、
バタフライ忍者
きちんとシートベルト
していたように

みえたんだ。

僕だけが

していなかった。



「ねぇ、
君はさっき
シートベルト閉めていたのかい?」



2回目の
白バイの減点を終え、
車を動き出させながら、
何気なく
僕は
彼に尋ねた。

彼は
助手席で
窓の外に
目をやりながら、

そっと言った。


バタフライ忍者はね、

同じ過ちは

繰り返さないのさ。」



僕は

彼のすばらしさに、

そして

僕の愚かさに、

2回
警笛を
鳴らした。


パッパー!!

パッパラァー!!


もう一度、

パッパー!!

パッパラァー!!



僕は
バタフライ忍者から
様々なことを
教わる。

それは
僕が生きるために、
当たり前に落としてきたもの。

捨ててきたもの。

どこかに置き忘れてきたもの。

そのすべてを
彼は持ち続け、
それ以外のものなど
彼は何一つ持ってはいない。

「君がキャッチするあらゆる事象は、
すべて君の判断・認識に委ねられる。

そしてその君の判断・認識は、
生まれ落ちてから得た知識、経験則やらで
形成された君の世界観内で処理されるんだ。

それってとても危険なことなんだ。」


「でも、
どうすればいいんだい?
僕は、いや、
すべての人々は生きている限り、
常に選択を強いられてる。」


「選択なんて本当はないんだよ。
選択肢は
臆病の数だけ
増えていくんだ。

覚悟があれば道は案外
ひとつかもしれないね。

あれが正しいとかこれが間違いなんてのも、
つまるところ他人が判断するものだし。」


僕は
少しムッとしていたように思う。

そして、
そんな簡単じゃないと僕は思う。

でも僕は
穏やかになろうと試みてる
人間だ。

反論ととられないよう、
優しく、彼をいなすんだ。

僕はそんな自分を大人だと感じる。
僕はそんな自分が素敵だと思う。

バタフライ忍者
僕は君のように強くなれそうもないよ。」


「君は失敗を恐れているんだね。」

僕はドキッとした。

唾を飲んだ。

どんな味がしたっけ。


「・・・・そうかもしれない。」

「君が選んだ選択を
成功か失敗かと
決定づけられるのは
本当は君だけだよ。

僕はといえば、
僕には成功も失敗もない。

・・・ただ生きるだけだ。」



軽井沢に着いた頃、
彼は
車に酔って、
道の端で
うづくまって
一向に
立ち上がれなかったね。


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posted by クロコダイル博士 at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

帰ってきたバタフライ忍者。。

何日か雨が続いて、
やっと太陽があくびして面倒くさそうに
顔をだした朝、

彼はいたんだ。

どこにいたって?

僕の寝室のソファー
彼は寝ていた。

その前夜、
僕は
飲めない缶ビールを3缶、
自分を罵倒するかのようにして、
体の中に
おいやったんだ。

理由は
その日上司に、
『社奇人とは』、『人生とは』、
『夢とは』、『ロマンとは』、
『女とは』、「お金とは』
って話を
その上司の価値観(畳でいうなら3畳半くらいの価値観)で
散々と聞かされ、
終いには
その上司が
「お前の彼女はどんな感じなんだ?」って
聞いてきた。

「は!?」

意味がわからんし、
俺の彼女のことを
お前が知ってどうする?
興味があるのか?

しかも締めが
それなのか?

咄嗟に
答えた。

「まぁ、なんというかその、、
犬小屋の下から
温泉がでてきたようなもんですよ。」


そして
上司は
わかったようなわからないような顔をした後に、
「そうかぁ、お前うまいこというなあ。」

アホか。意味なんかない!!
訳わかんない事言っただけだ。

そんなこんなでやりきれず、
仕事帰り、
コンビニで
某メーカー赤城山水系の
缶ビールを3本買い、
家の近くの
タコ公園で
それを飲んだ。

そして、
そのままフラフラしながら
家に帰って、
寝室のベッド
倒れこんだ僕は
ネクタイに巻かれながら
いっきに眠ってしまったんだ。

明くる朝、

僕の寝室のソファーに
「彼」は寝ていたんだ。

僕は
とぼけた目をこすりながら、
首に巻かれたネクタイを
ほどきながら、
「彼」を確認したんだ。

黒いソファーの上に
足をくの字にまげて、
仰向けになって
寝ている
バタフライ忍者
君の姿を。

「あれ、バタフライ忍者は星になったんじゃ?」


胸の中で
自問自答した直後、

彼は
目を閉じながら、

「やぁ、もう起きたのかい?
そして君は早速
思ってるね。
僕がなんで
ここにいるのかっていうことを。」


「ごめん。信じられなくて。
僕はてっきり・・・」


「無理はないさ。
君がそう思うのも。
でも一つでけ君は
忘れているよ。

・・・僕が
バタフライ忍者だっていうことをね。」


僕は

神の奇跡を
まの当たりにしているかのような

感動を覚えた。

「君が認識している現実ってやつは、
僕が過ごしてきた
バタフライ忍者になるための
とてつもない試練から比べたら
畳3畳半くらいの広さかもね。」


「そうだね。
君は当然僕ではないし、
バタフライ忍者なんだよね。
でも、あれから君は
一体どうしていたんだい?」


彼は
ソファの上で
体を起こし、
別名
『踊れる熱帯雨林』
異名をとる、
そのたいそうな胸毛の中に
手を入れ、
タバコとライターを取り出し、
さっとタバコに火を点け、
大きく煙をはいた。

「ははは、
やっぱり
君は何も知らないんだね。
君のこの家の
向かって右斜めの家が
あるだろう。
そこに
大きなだれたシェパードらしからぬシェパード
いたのを知っているね?」


「うん。
『桜大根』って犬のことだろう。
『桜大根』って名前は
その家の息子が、
駄菓子屋によく売ってる、
いかにも体に悪そうな『桜大根』っていう
漬け物みたいな食べ物を
誰よりもこよなく愛していたから、
飼い主であるその息子が
あのシェパードにつけた名前さ。

でもその『桜大根』は、
1年ぐらい前に、
飼い主の家にできてしまった
スズメバチの巣を吠え続けて、
スズメバチに10ヶ所以上さされて
亡くなったんだよ。」


いつの間にか
僕の寝室は
彼のタバコの煙で
灰色に覆われていた。

僕は
少しむせながら、
ベッドの右横の窓を
開けた。

「詳しい事はわからないけど、
ちょうどその頃、
ここいらの屋根から屋根を
わたり歩いていた僕を、
その飼い主が、
あろうことか、
その亡くなったシェパード
見間違えたのさ。」


彼は少し遠慮して
ソファから立ち上がり、
ベッドの横の窓あたりに、
タバコの煙を向けた。

「え!?
そんなことはあるはずがないよ。
君はバタフライ忍者であって、
どこをどうみても
シェパードには・・・」


「でも
それを決定づけるのは
その飼い主であって君ではない。

その飼い主は
もしかしたら、
駄菓子屋の『桜大根』よりも
犬の『桜大根』を愛してしまっていたのかもしれないね。

そしてまたもしかしたらだけど、
そんな大切な犬の『桜大根』を失ってしまった後に、
得体の知れない僕という存在に出会ってしまい、
それに名前をつけるとしたら、、

彼の選択肢は
君のさっきの話からすると、
そこでこよなく愛してやまなかった
『桜大根』しか
なかったのかもしれない。

しかし、それは亡くなった
犬のほうのことだけどね。

でも結局のところ、
その難解な迷宮の出口は
飼い主の彼にしかわからないけれどね。」


ぐるんぐるんぐるん・・・・・。

ぐるんぐるんぐるん・・・・・。


僕は
昨夜のビールの酔いが
また回ってきたような
感じがした。

「とにかく僕はその狂気でもあり、
純粋でもある『桜大根』好きの
息子に『桜大根』として
昨日まで飼われていたのさ。」


「え!?昨日まで?
一体何があったんだい?」


彼は
窓から差し込む光に
目を細めながら、

言った。

「気づいたのさ、彼は。
僕が
バタフライ忍者だって
いうことにね。」


僕は
何も言葉が

出なかった。

そうだ、

そのとおりだ。

彼は
『桜大根』ではなく、

まさしく
バタフライ忍者だ。


彼は
生まれながらの
バタフライ忍者だ。


『桜大根』なわけがない!!


「今日は久しぶりのいい天気だ。
そして君との再会を祝すには
絶好の天気だ。
どうだい、
また行きつけのタコ公園にでも
行かないかい?」


「うん、君のことだから
きっとそう言うと思ったよ。
仕事
ばっくれるよ。


僕らは
駅へと向かう人たちの流れとは
逆行して、
タコ公園に向かったんだ。

それは

あの日の別れとも

逆行していた。


その足取りは

とてもゆるやかだ。


おかえり、

おかえり、

バタフライ忍者!!


その翌日、

僕は

会社をクビになった。


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posted by クロコダイル博士 at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ありがとう、バタフライ忍者。

今日はバタフライ忍者
酒を交わした。

天気があまりにもよかったので、
僕とバタフライ忍者
タコ公園のタコの中で
酒を交わした。

バタフライ忍者
意気揚々として、
はじけるばかりの胸毛を
人差し指と小指で
はさんでは、こね、
はさんではこねながら、
僕に
彼の壮絶な生き様を
語り始めたんだ。

彼は
生まれながらにして、
バタフライ忍者になるべく
猛烈な英才教育を
受けたらしい。

それは
聞けば聞く程に、
僕には
想像を絶するほどの
英才教育だった。

朝起きて、
すぐに手裏剣の練習
(手裏剣200回)、
次に
バタフライ
(足のみを200回)、
忍法辞書の丸暗記
(暗記するのに3年はかかったらしい)、
バタフライ
(腕200回)などなど・・。


彼には
双子の兄のカキフライ忍者
いたらしい。


カキフライ忍者の話を
するときの彼は、
とてつもなく
せつなく映る。

そばに行って
ぎゅっと
強く抱きしめたくなるくらいに。


カキフライ忍者
いまどうしてるんだい?」



バタフライ忍者
僕のそんな質問に、
笑って
何でもないように
答えるんだ。

「カッキーはね・・・

星になったんだよ。」


彼の目は

遠く昼の空のむこうを
見上げていた。

きっと
バタフライ忍者には
昼であろうが、
あの青い果てしない空の向こうに、
カキフライ忍者が
みえているんだろうなぁ。


「おらー!!
バタフライ忍者ー!!
いるんだろー!!
でてこーい!!」


突然、

僕ら二人の幸せな夏の午後は、

響き渡るしゃがれたダミ声に

一蹴された!!


バタフライ忍者の指先が
かなり震えていた、
ようにみえた。

その指と指の狭間で
揺れる彼の胸毛は
激しいサンバの踊り
踊っていた、
ようにみえた。

「今日こそは
お前も
兄のカキフライ
おんなじ目に
あわせてやるぜー!!」


その声を発するものが
一体何者なのか、
なんてことを
突き止めるよりも

僕らは
タコの中で
ただただ
おびえていたんだ。

少したって、
バタフライ忍者
僕にささやいた。

「もう、

いかなくちゃ・・・」


僕は
彼の胸毛に
しがみついて、

言った。

「だめだよ。
出て行ったら!!

きっと
君の兄さんみたく
なっちゃうよ!!」



バタフライ忍者
彼の胸毛でみえなくなった
僕の顔を
そのジャングルから
優しく
ひきあげて

言った。

「僕は・・・

バタフライ忍者なんだよ。」



その刹那、

彼の音速の唸る両腕バタフライ

僕の両鎖骨に

ドカッ!!


もうろうとする
意識の中で、

僕は思った。


「そうだよね、

君は・・・

バタフライ忍者

なんだよね。」



さようなら、

バタフライ忍者

ありがとう、

バタフライ忍者



僕は
きっと
こんな暑いじめじめした
夏の昼下がりが
毎年やってくる度に、
君のことを
思い出すだろう。

そして
そんなときは、
青い果てしない空を
見上げて、
みつけるんだろう。

カキフライ忍者
肩を並べて
笑ってる、

バタフライ忍者

君の笑顔を。。。



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posted by クロコダイル博士 at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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